歯周病患者は健常者に比べて心臓病にかかるリスク ( 危険度 ) が1・5~2倍高いとされています。
心臓血管系疾患と歯周病の関係
歯周病原因菌が心臓の血管をつまらせたり、血管の細胞を傷害することがあるためです。
成人の重症の歯周病でよく検出される Pg 菌 ( Poriphyromonas ginngivalis ) のもつgingipain という酵素は、血小板の凝集を誘発し、血栓形成に関与します。また、この Pg 菌は血管内皮細胞に侵入して増殖し、血管壁を傷害します。
心内膜炎と歯周病
心臓内部の膜壁や弁に細菌が感染して起こる、心内膜炎のうち、亜急性感染性心内膜炎の病原因子として、口腔内の連鎖球菌が上げられています。
65歳以上の高齢者の死亡原因の1位は肺炎です。
この肺炎のうち、口の中の細菌が肺に入り込んで起こるのが、誤嚥性肺炎で、寝たきりの人に、多く起こります。この病原菌として、歯周病菌の関連性が指摘されています。
高齢になると、飲み込む機能が低下し、本来、食道に入るものが気管支に入ることが良く起こります。老人施設での誤嚥性肺炎は、歯みがきや口の中の清掃、除菌といった、
プラークコントロールをきちんと行うことで、肺炎の発生が少なくなったという研究報告が出されていて、口腔内を清潔にすることと、歯周病を予防することは、高齢になっても、大変重要です。
バージャー病は、四肢の抹消血管が閉塞し、血管炎を起こし、痛みや潰瘍、ついには、壊死に陥り、手足の切断にいたることある病気です。 その患者のほとんどから、歯周病菌が検出され、強い関連性があるといわれています。
糖尿病にかかっている人は、血液が高血糖になり、毛細血管がもろくなり、感染を受けやすくなったり、神経症状が起きたり、網膜に障害をきたしたりします。
そして、糖尿病の人が口腔内のケアをおろそかにすると、歯肉炎になりやすく、重症の歯周病になることがあります。
その一方で、歯周病のような慢性炎症があると、多くの炎症物質がインスリンの働きを抑制して、血糖コントロールを悪くすることも報告されています。 歯周病の治療は、血糖値の改善とも密接に関係しています。
妊婦が、歯周病にかかっていると、低体重児出産(早産)になる可能性が高くなると、報告されています。
歯肉の炎症が強くなると、プロスタグランディンE2がふえてきてますが、これは、陣痛促進剤として使われるものです。
歯周病患者に見られる、歯周組織の大量のプロスタグランディンE2が、羊膜腔や、胎盤膜に与えることが指摘されています。
タバコは、歯周病を重症化しやすい点で、見落とすわけに行かない要素です。
さまざまな研究から、タバコを吸う人は、吸わない人に比べて、歯周病にかかりやすく、進行も早く、治りにくいことが、明らかになってきました。
タバコの3大有害物質として、ニコチン、タール、一酸化炭素がありますが、そのなかでも、ニコチンは血流を悪くして、歯ぐきに十分な酸素や栄養を運びにくくし、歯周病にかかりやすくします。
免疫力も弱まってくる上に、タバコの影響で唾液が減っていることも作用して、歯垢や歯石も、つきやすくなり、歯周病の進行、悪化を加速します。
たばこの本数が多いほど、歯周病にかかりやすく、重症化しやすいことも、報告され、歯科医院での治療とともに、禁煙することの重要性が、声高に言われています。